コラム
薄型の自動販売機にまつわるいろいろ
自動販売機設置をする上で重要なのは奥行きと幅と高さの確保で、実際の薄型のサイズは奥行きは31センチ~52センチ程度です。自動販売機で最もよく用いられている20セレクションでは幅が役100センチ、奥行きが65センチ。これを基準にすると実際のところはどうかというイメージがしやすくなります。設置においては高さも重要。こちらはおおよそ183センチが標準です。
薄型の自動販売機は逆境の中から生まれました。90年代前半、設置された自動販売機が公道にはみ出していると告発する運動が巻き起こりました。関係省庁からの要請や警察指導の多発など風当たりは非常に強く、一部は訴訟にまで発展したというほどの強い社会全体の圧力を受け、業界として対応策に乗り出す必要性が生じたのです。
ただ逆境こそ躍進の時であるのが世の中の常。この圧力は「奥行きの短い場所へ設置したい」という潜在的にあった顧客ニーズにもつながり、現在のような様々なスペースで活用できる薄型を含めた多様なサイズの自販機が展開されていく契機となっていったのです。具体的に技術の進化で薄くなったのはドアの厚み部分で、収容本数が少なくなってしまう影響を少しでも少なくすすべく改良が重ねられた結果、90年代の物に比べておよそ半分程度になりました。
スタイリッシュな薄型ですが、薄くなる分、通常のものとは違うハンディも負います。標準型と同量の販売商品を貯蔵しようとすると横幅寸法を広くとらねばならず表面積も広くなります。そうなると外部の熱の出入りが増えてエネルギー消費の効率向上において不利です。また薄すぎるとヒートポンプではないというのがネックです。超薄型と言われる12セレクション薄型ではどこのメーカーもヒートポンプ機種非対応である可能性が高く、そうなると電気代が非常に高くなり、最新式の自販機と比較するとおよそ2倍になってしまいます。
「置くことは可能でも収益を出せるか否か」が問題になることがあります。
薄型設置を考えるときには販売効率の点から十分な検討が求められます。