コラム
自動販売機メーカーシェアトップ企業の横顔
自動販売機のメーカーの主な企業としては富士電機、サンデン、パナソニックフードアプライアンス、芝浦自販機、クボタ、グローリー、ネッツエスアイ東洋などが存在していますが、メーカーシェアダントツの1位を維持しているのは富士電機です。
このトップ企業の進んできた道のりから、自動販売機業界の動きを複合的に見ることができます。
富士電機は1923年に古河電気工業と独シーメンスの資本・技術提携により、そもそもはモーターの会社として設立されました。現在は産業プラントなどのインフラとしての顔が強い企業ですが、家電を手掛けた時期もあり、これら技術を元に1970年頃に参入したのが自動販売機事業。自動販売機事業の売上高は全体の売上高においては占める割合はわずか7%ながら、伸びしろがあるのがこの分野。というのも富士電機は自販機事業で中国への進出をしているのです。1990年代初頭をピークに自動販売機の日本の国内市場は台数としては縮小していますが、縮小の中でののメーカーシェア1位というとらえ方と、中国市場の動向も合わせ見た場合では、見え方は全く異なってきます。
富士電機は2003年に中国に参入し、2008年の北京オリンピックや2010年の上海万博という流れにのり爆発的にシェアを拡大。現在は中国でも、ペットボトルと缶の自販機でメーカーシェア実に7割を超えるトップメーカーに成長しています。
中国国内の自動販売機市場の活況は、富士電機の技術力が反映されていたのです。スマホ決済がいち早く、そして爆発的に普及した中国。自販機でのスマホ決済はスタンダードであるばかりか、自販機そのものにスマホの充電機能までも備えています。
まだ自動販売機そのものの普及を見ていなかった場所に、リーディングカンパニーによって最先端機が投入され続けたことにより、ことのほか動きが早かったわけで、それはとりもなおさずこれから迎えるであろう日本の未来が先に具現化されていたともいえるのです。