コラム
増税と自動販売機
自動販売機で販売される飲料の値段はいままでの消費税の増税では増税分以上に値上げされてきました。物価上昇に連動しての値上げに加えて一円単位での精算が行えないというのが理由です。
消費税の増税が行われた直後は以前より高いと受け止められ、販売に直接大きな影響を及ぼしてきました。しかしながら今回の増税では以前のように単純化して考えることができない面があります。消費税増税への流れと同時に推進されているのが電子マネーの普及だからです。自動販売機と電子マネーは双方利用にあたっての手軽さが最大の武器。相性が非常に良いためマイナス影響のある程度の緩和が既に見込まれます。
それ以外にも、商品のバリエーションを増やすなど販売数を保つ努力と試行錯誤は絶えず繰り返されていますし、また設置者側からすると、自動販売機の設置を行った際に設置業者と交渉してあえて値段を据え置く、もしくは下げるという逆張りの思考を持つことで、販売数そのものを稼ぎ収益を逆に高めるケースさえあります。そしてそもそも、単価の変更による客離れについては中長期では消費者側の慣れによって改善されていく傾向にもあります。
増税という観点からはむしろそうした改善余地のない電気代上げの影響の方が深刻だといえます。電気代上昇というランニングコスト増加による収益の低下がどの程度になるかこそ、踏まえておくべき重要ポイントです。
また「消費税10%」と「軽減税率(8%)」と自動販売機の関係についてですが、値段の変わるラインは場所とタイミングによります。
店内に設置された自販機で買って、店内で飲むことになると、外食扱いで消費税は10%です。
店内で買い、飲まずに持ち帰る場合には8%となります。
ですから店内設置の場合には、約3割のお客さんが飲まずに持って帰るということなら、全体の売上げのうち3割が消費税8%での売上げで、残りを消費税10%での売上げである、と決めることになります。