コラム
自動販売機のLED照明で得られる意外な効果
自動販売機の消費電力の80%は冷却や加熱に,15%が照明に使われます。その15%にLEDが導入されたのは自動販売機には画期的なこと。省エネと高機能を享受しながら、LED照明そのものが販売に直接貢献する環境も同時に作り出せるからです。
LEDは理想の照明。消費電力は蛍光灯の約3分の1程度までに抑えられ、また大変長寿命です。蛍光灯のようにフィラメントの寿命で突然切れて点かなくなるという事はなく、プラスチックなどを使用できるため衝撃や振動に強く、発熱温度が低いので交換時のやけどの心配もなく、有害物質(水銀)を使用しないため環境にもやさしいなど。こうした数々の高性能だけでなく、ディスプレイにおける直接効果も。LEDは配線を極細にする事で狭いスペースへの組込みや繊細な工作が可能で、効率よく光が当たるような構造を決定したレンズで光を集めてより少ないLED で明るく照らす、などができ、それにより商品見本を美しく際立たせられるのです。
また自動販売機の悩みであった夜間の虫対策にも有効性が認められるのがLED。消費者に不衛生な印象をもたらす虫が減り、またその虫をエサにして周辺に巣を張ってしまう蜘蛛も減ります。
夜の自動販売機の周りに虫が集まる光景。これは蛍光灯から発する紫外線に「誘虫性」がある為に起こります。夜間に虫の目に見えるのは紫外線のみ。虫は微量な紫外線を発する蛍光灯の光を太陽の光と勘違いして集まりますが、LEDは発光時に紫外線が発生しないために、虫を寄せ付けにくいのです(LEDは電流を直接発光に結びつけ、蛍光灯は内部で発生した紫外線がガラス管内面の蛍光塗料に当たる事で発光する仕組み)。
虫の目には単眼と複眼の2種類があり、複眼の虫は視力が弱いため紫外線を頼る習性があります。LEDではそうした複眼であるコガネムシ科やカメムシ科、イエバエ科などを防ぎやすいと考えられます。