コラム
地震多発時代における自動販売機設置者の立ち位置とは
「災害対策用自動販売機とうたいながら無償で配るどころかそもそもうまく動くこともなかった」。そんな文字が新聞に踊った事がありました。北海道にブラックアウト(大規模停電)の悪夢を引き起こした地震時のことです。
現代の自動販売機は設置にあたり業界基準で耐震化されており、メーカーごと取り組みは様々ながら地震対策もされています。被災時の無償配布も実際に一定の効果をあげてもいました。
しかしながら根本的な弱点は取り除けません。電気制御である以上はバッテリー搭載による駆動にも限界時間はあり、また地震対策の内容自体、飲料メーカ―各社様々。どう動くべきかが土壇場でわからなくなる設置者も。
しかしながら混乱は事前に避けられます。
「一つの小さな店舗である。」
この視点を設置者側が持つことです。
飲料を運ぶ人がいて、その飲料を「備蓄」している人や法人がいて、それでやっと自動販売にいたる。この基本を思い出すことです。設置者は非常時に「既に手元に蓄えられた飲料」をどうやって使うかを当事者として事前に考えておく。
これこそ災害時代に自動販売機設置者となる側に求められる姿勢なのです。
最初の事例では地震発生後一定時間、災害協定を結んだ相手との連絡が取れない場合、設置者自身のカギにより自力で開ける等の合意を得、その上で自分の代理要員にもあらかじめ話をしておく、それだけでこの事態を避けられています。
例えば首都直下型地震発生時には全国の水のペットボトルの在庫はたった13日で0となる予測がされています。広域災害となれば尚のこと。
地域での悪評という結末か、それともいち早く飲料を提供できる存在となるか。
地震の予測こそできませんが、地震後の売り上げ予測なら可能です。その後の売上が上がるも下がるもこの災害時の対応次第。被災時に顧客の信頼を確実に得られるかはその後の運命の大きな分かれ道といえるでしょう。