コラム
自動販売機の台数とメーカー各社の動き
国内の飲料自販機の設置台数は全国を見渡すと約260万台が設置されています。また、首都圏に限ると飲料自販機は30人に1台の割合と非常に高くなっています。
飲料メーカー各社の設置台数を単純に比較すると最多は日本コカ・コーラ。全国に98万台を設置しています。
それを追うのがサントリー(59万台)、次いでアサヒグループHD(28万6000台)、ダイドードリンコ(28万台)と続きます。
逆に自販機台数を減らす戦略を取っている伊藤園(20万台)は、優良エリアや好採算エリアへの設置に限ることで効率を上げています。またカゴメは既に自動販売機事業からは撤退しています。
ニーズの変化・社会の変容など、時代の流れに沿った形での発展を続けている自動販売機業界。
おのずと単純な台数比較だけでは測りきれない要素があり、近年、その比重が増してきています。
自販機1台当たりの販売効率向上に向けた数々の取組みと、業界における勢力地図の変化です。
量から質への転換と言われますが、設置場所が飽和状態というなかでの模索により、メーカーをまたいだ形で複数の商品を扱う動きが既に定番化。一方では飲料メーカー各社の独自色も出され、自販機専用商品の開発や専用キャンペーンなども数多く行われ続けています。また単なる設置物としての自販機から社会インフラとしての自販機へと進化しつつあり、スマホと連動した取り組みが増え急速なIT化が進行したために、販売スキームや商品開発のみならずスマホをキーとし消費者をつなぐ取り組みにもまたしのぎが削られています。
こうした変化の元、勢力地図についてはコカ・コーラとサントリーとの頂上決戦も意識され始めています。時代は変わるといいますが、サントリーは時代は自らが変えるものという企業。サントリーがJTの自販機事業などを買収してからのここ数年の猛追は目を見張るものがあり、近年ではペットボトルコーヒー「クラフトボス」なども展開。
卓越した製品開発・企画力で生み出されるヒット商品群とそれに加えた宣伝力が強みのサントリーに対し、コカ・コーラは自動販売機の台数としては絶対的優位を誇るものの、爆発的ヒット商品には欠け、サントリーとは異なる「ボトラー制度」という枷もあります。
台数だけで判断できる時代がはるか昔のこととなった今、コカ・コーラとサントリーの頂上決戦がどんな流れになっていくのか、まだわかりません。